その日も、一人で星空を見上げた。
ここから、こうして星空を見るのも、今日で最後になるな。
明日はやっと退院。
俺は、どこかでまだ期待している。
ゆらが、お祝いを持ってかけつけてくれて、最近忙しくて、、なんて言いながらごめんねって笑ってくれる。
そんな場面を想像してるんだ。
星空を見てると、いろんなゆらが思い出される。
俺の意識が戻った日の、泣きそうな顔。
優しく微笑む、穏やかな顔。
初めて香織を見たときの、なんとも言えない悲しそうな顔。
俺が意地悪を言うと、すねて頬を膨らます顔。
学校と就活で疲れてたのか、イスでうとうと眠そうにしてる顔。
どんなゆらの顔も、どんなゆらの言葉や動作も、いますごく愛おしく感じる。
ゆら、、
ゆらはいまどこにいる?
何してる?
もう、、俺に会いに来てはくれないのか?
もうゆらと会うことはできない?
会いたいよ、ゆら。
ああ、、いまわかったよ、俺。
俺は、自分でも気づかないうちに、ゆらのことが好きになっていたんだな。
香織に惹かれていたのは事実。
でも、そこに恋愛感情はなかった。
つまらない入院生活の中で、香織と話しているときは刺激があって、それを好きと勘違いしてたんだ。