「ゆら、報告がある。」



今日、担当医から、来週には退院できると言われたこと、ゆらに知らせた。


ゆらは、よかった!本当によかった!と、すごく喜んでくれていた。




「それから、香織も明後日退院するらしい。」





今日のリハビリのとき、香織に言われた。


明後日に決まったと。


そのとき、こうも言われたんだ。



「愁くんとも、さよならだね。」と、、



そうか、、


このまま香織が退院したら、俺は香織とはもう会えなくなるんだよな。



それに、香織の言った言葉。


夢であの子が言った言葉と同じ。



それも、俺の中で気になっていた。


だから、俺は、決めたんだ。





「だからゆら、明後日、かすみ草の花束を買って来てほしい。」



俺は、香織が好きだと言っていたかすみ草に花束を渡し、連絡先を聞いておこうと。



さよなら、にならないように。





俺はこのとき、香織とのさよならばかりを考えていた。



まさか、、


ゆらとのさよならがあるなんて、全然考えもしなかったんだ。



なぜだろう、、


ゆらはずっとそばにいるような、そんな安心感があったんだよな。


ゆらが俺から離れていくなんて、そんなことありえないっていうか、心配もしてなかったんだ。



だから、俺は香織との別れを避けることばかりに集中していた。



ゆらに、、香織に渡すかすみ草の花束を、買ってきてくれと頼んでしまったんだ。