なんなんだよ、、
なんで海斗がそんな顔をするんだよ、、
海斗は、これだけは言っとくって言って、それだけ言い残すと、病室を出て行った。
「愁、俺はお前が誰を好きになろうと、誰を選ぼうと何も言わない、何も言えない。でも、目に見えるもの、耳にしたもの、それが真実だとは限らない。それだけは、覚えとけ。」
どういう意味だ?
目に見えるもの、、
耳にしたもの、、
それが真実じゃないかもしれない。
じゃあ、真実はどこにある?
どうすれば真実がわかるんだよ。
その日、、また夢を見た。
でも、その日の夢は、いつもとは違っていた。
真っ暗な道をひたすら歩いていて、冷たい雨が降っている。
俺の少し前を、いつもの誰かがびしょ濡れで歩いている。
俺は傘を差していて、その子を傘に入れてあげようと追いかけるんだけど、あと少しの距離が縮まらない。
俺が早歩きになっても、俺が走っても、その子には追いつけない。
その子が立ち止まった。
俺はそのとき近づこうとするけど、足が動かなくなっている。
その子が少し振り向いて、でも顔は見えないくらいで言った。
「さよならだね。」
一言だけ、そう言ったんだ。
そして、その子はフッと消えてしまった。
その日以来、俺は夢を見なくなった。