海斗が一人で見舞いに来たとき、俺は海斗に聞いてみることにした。
「なあ、海斗。俺は最近、誰かと付き合ってたんだろ?」
「えっ、何か思い出したのか?」
海斗の顔が、パッと明るくなる。
「いや、何も。なんとなくそう思うんだ。でも、それが誰なのか、、ゆらなのか香織なのか、、どっちかだと思うんだ。」
「なんだよそれ、、」
一瞬にして、海斗の顔が曇った。
「ゆらちゃんだと思う理由は?」
「海斗が言いかけたこともあるし、毎日会いに来てくれるし、なんかゆらがいるとホッとする。」
「それだけか?じゃあ、香織さんだと思う理由はなんだよ?」
「香織が意味深なことを言うし、俺の記憶の話をすると、すげー悲しそうな目をするんだ。それに、俺と香織はなんか妙に気が合うし、一緒にいて楽しいんだ。」
「なんだよ、それ、、」
海斗は、唇を噛み締めてうつむいた。
俺、なんか間違ったこと言ったのか、、?
うつむいたまま、海斗がつぶやいた。
「そんな言い方、、そんな顔、、香織さんが好きだって言ってるようなもんだろ、、」
言い方?顔?
俺、どんな顔して話してた?
自分じゃわからない。
海斗は、難しい顔をして俺を見た。
そして真っ直ぐに俺の目を見て聞く。
「愁、、お前、香織さんが好きか?」
なんでそんなこと聞くんだよ、、
「まだ、はっきりとはわからない。でも、惹かれてるんだと思う。気になってるのは、事実だ。」
「そうか、、」