それからも、あたしは毎日愁くんに会いに、病院へ通った。
だいぶ慣れてきてくれたのか、最初よりも仲良くなれてる気がする。
でも、あと一歩のところで、愁くんの中に踏み込めていない感じがする。
そこから先が、あと少しの距離が、全然縮まらない。
そんな微妙な距離が、
もどかしくて、はがゆくて、、
でも、焦りは禁物。
ゆっくり、じっくり、時間をかけて近づいていきたい。
少しずつ、愁くんの中で、あたしの存在が膨らむことを願って、、。
そんな生活を続けて、約1ヶ月。
愁くんは、驚異的な回復を見せていて、いまは毎日リハビリに励んでいる。
あたしは、今日はきれいな花を買って、愁くんの病室に向かった。
愁くんの病室に向かうと、病室の前で、愁くんと誰かが話していた。
愁くんと同じように、車イスに乗っている。
あたしが近づくと、愁くんが気づいてくれた。
「ゆら、今日は早かったな。」
「うん。授業が早く終わったから。」
この一ヶ月の間に、あたしは大学4年生になっていた。
授業はほとんどないけど、就活が本格化してきていて、優華と毎日頭を悩ませている。
どんな仕事につくのか、ひたすら自分を見つめ直しながら、様々な企業にエントリーシートを送る日々。