あたしにかかってきた電話。
美奈からだった。
電話口から聞こえた、息が上がっていて、少し苦しそうな美奈の声。
「陣痛が、始まった。いま、親の車で病院に向かってるから。」
あたしは美奈が向かっている産婦人科を聞き、優華と慌てて飛び出したんだ。
電車に乗ったあたしたちは、何も話すこともなく手をつないだ。
あたしの手も、優華の手も、冬だというのに少し汗ばんでいた。
きっと、同じ気持ちだからだよね。
美奈、がんばれ。
美奈、もう少しだからね。
美奈、大丈夫?
美奈、いま行くからね。
赤ちゃん、大丈夫?
赤ちゃん、がんばって出てきて。
赤ちゃん、早くあなたに会いたいよ。
美奈も、赤ちゃんも、どうか無事でいて。
美奈と赤ちゃんが心配で心配で、、
あたしは、優華の手をぎゅっと強く握った。
優華も、手に力を込め、強く握り返してくれた。