愁くんが後ろで耐えてくれるから、あたしは全然後ろから押されない。
バスが揺れても、愁くんがさっと支えてくれるからふらつきもしない。
こういうとき、
やっぱり男の人だな〜って実感する。
窓の外を見てたら、窓に映る自分の顔が赤くなっていることに気づく。
何気ないことでも、慣れていないあたしはドキドキしっぱなしなんだ。
それからどうにか清水寺のバス停に着いて、あたしたちはバスを降りる。
降りた途端つながれる手。
ちょっと恥ずかしいけど、でもやっぱり嬉しいんだ。
「わぁ〜!人いっぱいだね〜。」
清水寺に続く坂道には、たくさんの飲食店やお土産屋さんが並んでいて、多くの人で溢れかえっている。
「絶対手離すなよ。ゆらはすぐ迷子になるから。」
「うん!」
そういえば、前に夏祭りに行ったときは、あたしが迷子になっちゃって大変だったんだよね。
まあ、もし迷子になっても、絶対愁くんがすぐに見つけてくれちゃうんだろうけど。
ふとつないだ手を見ると、夏祭りのときのことを思い出して、あたしはニヤニヤしちゃう。