まだ少し歩き慣れない下駄のせいで、ちょっとふらついてしまった。
すると、愁くんが腰に手を回し、抱きしめるようにして支えてくれる。
「わっ、ありがと。愁くん?もう、大丈夫だよ?」
愁くんは離れようとしなかった。
いまは誰もいないけど、ここ普通に道だし、いつ誰が来るかわからなくて少し恥ずかしい。
「愁くん?誰か来ちゃうよ〜。どうしたの?」
「ゆらが可愛すぎるから悪い。」
「えっ?」
あたしは驚きと嬉しさですぐに赤面する。
「ゆらが着替えて出てきたとき、そんまんま腕引っ張って、旅館に戻っちゃおうかと思った。」
「も〜!愁くんの変態!」
「いまのゆら、他の奴に見せたくないし。」
うぅ〜〜!!
愁くんがかわいい!!
「ゆら、キスして。」
「えぇ〜、また?道でなんて恥ずかしいってば〜。」
「やだ、して。今度はちゃんと口に。」
そう言って愁くんは、はいって目を閉じる。
あたしは周りをキョロキョロと見渡して、一瞬触れるだけのキスをした。