まだチェックインは出来ないので、ロビーで荷物を預けて旅館を後にする。
ん〜!!
早くお部屋も見てみたい〜!!
ロビーもすっごくおもむきがあって、夜が楽しみになった。
着物レンタルのお店まで、愁くんと手をつないで歩く。
「素敵だったね!旅館。夜が楽しみ〜!!」
「ふーん。俺も夜が楽しみ。」
愁くんはニヤっと笑う。
「愁くんのは意味が違う!!あたしが言ってるのはそういうんじゃないもん!!」
慌てふためくあたしを面白がって、
「だってさ、部屋に露天風呂あんだぞ?一緒に入るの楽しみ。」
そんないじわるを言う。
そう。愁くんがこの旅館に決めた理由の一つ。
大浴場の温泉とは別に、全室にプライベートの露天風呂がついていて、24時間自由に入り放題。
「やだ〜!一緒になんか入らない!」
「だめ。ゆらに拒否権ないし。」
愁くんは、お泊まりのときもいつも一緒にお風呂入ろうって言ってくるけど、あたしが恥ずかしくて逃げるから、まだ一緒にお風呂入ったことないんだよね。
「今日こそは絶対一緒に入る。じゃあ、これ着物との交換条件な!」
「そんなぁ〜〜。」
どうやら今夜は、腹をくくらなきゃいけないみたい。