「その代わりに、弁護士はどうですか?」

「弁護士?」友里恵の瞳がキラリと光る。

「それとも手堅く会計士?医者?外務省や財務省も知り合いにいますので、捜査に協力してくれたら一席設けますよ」

「あら、刑事さん、話しがわかるじゃなーい」

友里恵は先程までの凶悪犯ばりの態度がコロリと変わる。

「私はお医者さんがいいー」ついでに、私も乗っかろうとするが「薫はダメだよ」とコウに冷ややかな視線を向けられピシャリと言い放される。

「ずるいじゃない、友里恵ばっかり」

「あんたって本当に厚かましいのね」

友里恵は整った眉を非難がましく釣り上げる。

「な、なによ」何も言い返せない私を見てコウはふふんと鼻で笑った。

「でも今日買った物も無駄にならずに済みそうね。薫も後で刑事さんにも見せてあげたらー?とっても素敵じゃない」

ニヤリと笑い友里恵は冷やかすような視線を私に向けてくる。

「そ、そうね。機会があれば是非」私は引きつった笑みを浮かべる。

コウはチラリとショップの袋に目を落とした。

「いくら素敵でも、それ一枚で部屋の中を歩き回らないでね」

何かを言い返そうとするが、恥ずかしさのあまり言葉が出ない。

私は顔を真っ赤に染めて水から出た金魚のように口をぱくぱくさせる。

友里恵はその光景を見て声を上げて笑った。