「ああ?何だ兄ちゃん?」

ロン毛が小鳥遊の襟首を掴もうとした瞬間、後ろに吹っ飛んだ。

顔面を抑えているので、小鳥遊がぶん殴ったようだ。

「葛城さーん、もうちょっとお仕置しときましょうか?」

「ん、そうだね」ニッコリとコウは微笑む。

そのまま倒れたロン毛の腹に蹴りを入れると、動かなくなる。

わー…容赦ない。

思わずロン毛に同情しそうになる。

「おい、ちびっこ、女の前だからってイキってるとこの辺歩けなくするよ」

金髪が小鳥遊の前に立ちはだかり、くちびるの端をあげてニヤリと笑う。

金髪は長身で180cmは確実に超えており、小鳥遊は比較的小柄なので、屈むようにして顔を覗き込む。

「いいよーあんまりこの辺りには来ないからなあ。人が多くって」小鳥遊は不快そうに辺りを見渡す。

「あれー小鳥遊、この辺のキャバクラたまに来るでしょ?」コウが呑気な茶々を入れる。

「そうでした。キャバクラに来られないのはちょっと困るなあ」ニヤリと笑って小鳥遊は肩を竦めた。

「そんな事言ってる場合?!」友里恵が至極真っ当な突っ込みを入れた。

金髪が鼻で笑う。

その瞬間、ポケットから手を出し、小鳥遊の腹部に何かを突き立てた。

私は思わず悲鳴を上げる。

しかし、その動きを読んでいたのか、小鳥遊は素早く交わし手首を捻り上げると金髪はあっけなくナイフを取り落す。

次の瞬間、小鳥遊は顔面に強烈なひじ打ちをかまし、金髪が屈みこむと組んだ両手を背中に振り落とした。

その隙を狙って、タトゥー男が小鳥遊の背後から飛び掛ろうとする。

すかさずコウが片手で襟首をつかんで引き倒した。