その後、珠希は彼と予定があるようで、「夕飯の支度をしなきゃ」と、言いながら、いそいそと帰って行った。

まだ胡散臭い男と関係が続いているようだ。

友里恵もこの後、デートの約束があるらしい。

彩られた休日を過ごす2人とは対照的に、私は小鳥遊が迎えにきて強制送還される。

公園で襲われた一件で門限が定められたのだ。

まったく小学生じゃないんだから。

コウの過保護っぷりには呆れてしまう。

友里恵は待ち合わせまでまだ少し時間があると言うので、小鳥遊のお迎えを待つのに付き合ってもらう。

駅前から一本路地を入った広場のベンチに腰掛け、買ってきたコーヒーを飲む。

「本当に息が詰まりそう」溜息をついて私はボヤいた。

「まあ、暫く我慢するしかないわね。でもいいじゃない、いい男と一緒に暮らすのも。今のうちに色々たのしんじゃえば?」

友里恵はニヤリと妖艶な笑みを浮かべる。

「そんなムードじゃないんだって。誘惑した日にはふしだらだって説教されるわ」

「まるで保護者ね」友里恵は声を上げて笑う。

「楽しそうだね」

不意に声を掛けられる。

ふと顔を上げると3人の男達に取り囲まれていた。

金髪や長髪などの派手な髪型に、高そうな厳ついシルバーのアクセサリーやゴツいブーツが目に着いた。

3人とも冬であるにもかかわらず肌は浅黒くガタイも良い。

品行方正なジェントルマンには間違っても見えなかった。

若かりしギャルの頃ならまだしも、落ち着いた社会人になってこんな派手な人達に声を掛けられるなんて驚きだ。