扉を開けると
そこに立っていたのは、

ルームサービスを運んできた
客室係





ではなかった。






しかし、
もう僕は、
驚きもしないし、突っ込まない。




着崩した浴衣も直さない。
ただ、壁にもたれて、
じっと彼女を見下ろした。


「何?」

そう冷たく、
扉の前に立つ桜子さんに
僕は言った。