ーー。


朝である。



昨日のことが嘘かのように空は
爽やかだ。

しかし、まだ朝が早い。
この小高い山に立つ、
日野原家の屋敷は、
薄い霧に囲まれていた。


今日は叱られてはない。
が、僕は、
いつもどおり、
山をかけた。

今日は学校も休みだし、
さらに屋敷を外周しようと、
エントランス前の庭園に
差し掛かった時に
異変は起こった。





…?





「…っほ。えっほ。」

荒い息と
熱い男の声が、
どこからともなく聞こえてくる。



僕は、足を止め、
声がする方を
見つめた。



薄く白い霧の中から、
人影がだんだんと現れる。


2人の男…、
間に、四角い籠。




…。