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「あの…」

へとへとに疲れながらも、
とりあえずは、
玄関まで綾小路一家を
お見送りした。


両親は車に乗り、
あとは、桜子さんだけという時に、
半分乗りかけた桜子さんは、
僕の方へと引き返してきたのだ。


「何?まだ何かある?」

僕は、ぶっきらぼうに聞いた。

桜子さんは、
少し、もじもじしながら、
箱を取り出し、
僕に差し出した。


「お誕生日おめでとうございます。」

と頬を赤らめて言った。


もう騙されないぞ。
そんな照れ可愛さ僕には
通用しないんだからな。


「ご…ご迷惑なんだって分かって、
このようなもの渡せないと
思ったのですが、
どうしても、お渡ししたくて。」

彼女があまりに
悲しそうな目をするので、


「ふんっ。
もらってやらんでもない。」

なんて言って、
受け取ってしまったのだ。