そっか。
岩ちゃんのオフィス、
このビルに入ってたっけ。
僕は、頭を掻いた。
「理太ちゃん?
誰?その人。」
沙羅ちゃんが、
第一声を放った。
「恋人だよ。」
僕は言った。
沙羅ちゃんが、
すごい顔をしてる。
「すっ…すみません。
おじゃましました。
私たち、岩ちゃんさまに
お洋服を作ってもらうことになって、
その…図書館に行く途中に偶然お会いして、
その…、本当に、
失礼いたしました!」
桜子さんがダーッと
マシンガンのように、
話をして、
沙羅ちゃんと岩ちゃんを
引っ張っていこうとした。
「待って!」
岩ちゃんがその手を払う。
「桜子ちゃんが、
どんな気持ちか分かる?
桜子ちゃんが洋服作ってって
誰のためだと思う?」
岩ちゃんが、
僕のシャツを掴んだ。