「どこに行きたいとかありますか。」
僕は学校ヘと向かう車の中で聞いた。

デートは明日に差し迫っていたが、
どうやら、僕が切り出さない以上、
誰も行き先を決めてくれるような気配がなかったので、
本人に聞いてみたのだ。


「へっ!
あ…大丈夫ですよ?」

桜子さんは言った。


は?何が?


僕は意味が分からず、
久しぶりに彼女をまっすぐ見た。


「恋人の方とどうぞ、お過ごし下さい。」

なんて言い出したのだ。


「いいの?それで。」

僕は目を見開いて聞いた。


「はい。私は、こうしてお家や学校にいさせて
いただいているだけで、満足です。

たまにはお昼にお時間ご一緒されると
お相手の方はきっと喜ばれます。

私は図書館で勉強しておりますので…
あ、お祖父様には一緒にいたといいますから。」

彼女はそう言って笑った。



僕は驚いて頭を掻いた。



一体どうなっているんだ。