「デート?」
僕がそうしたように
今度は詩子さんが僕に
聞き直した。
「うん。邪魔しに来て欲しいんだ。
いい機会だから、君に合わせようと思って。」
僕は、シチューを食べながら言った。
詩子さんのご飯は、
小学校時代の給食を思い出す料理ばっかりで、
不思議と懐かしい。
眼鏡が少し曇るけど。
「ほんとにあんたって最悪ね。
まぁ、お金もらってるから行くけど。」
そう詩子さんは言った。
「…はぁ。うまくできるかな。」
僕はため息をついた。
実はこの日の為に、
恋人のふりを練習して来たのである。
設定をいくつも考えて、
不自然にならないように
何度も練習をしたのである。
「大丈夫よ、私がついてるわ。」
詩子さんがファイティングポーズを取った。