「デート?」

朝食の場で、
お祖父様がわくわくと体を揺らして言った言葉を
僕は聞き直した。

桜子さんよりも、
お祖父様の方が、
達が悪いな。

僕らが本当に
結婚すると本気で思っている。

「だから、
僕は結婚する気もないし、
あと二週間で、出て行って
もらいますから。」

僕は言い放った。


「うるさい!初夜までしといて!」

「ですから、それは誤解ですって!」

僕は目一杯否定した。


「じゃとしても、
一度もデートしないまま
断るのも失礼じゃぞ。

一度くらいしてみろ。
考えが変わらんのなら、
したってええじゃないか。」

お祖父様は、
頷くしかない屁理屈を述べた。


桜子さんは、おろおろと
僕とお祖父様の顔を交互に見た。

僕は、頭をばさばさっとかいて、

「一度だけなら…」

と言った。