「花梨……いい加減離れてくれないかな」
「あ、ごめん、コウちゃん」


女の子好きな千夜先輩が苦々しい顔をしている。珍しい。
その子は名残惜しそうに離れたが、まだ服のすそをつかんでいる。
真島くんは興味津々に2人を見ている。


「チヨ先輩、その子誰？彼女？」
「久しぶりって言っただろ？この子は……」


少し怒った口調の千夜先輩をさえぎるように、彼女がキッと顔をあげた。


「私は遠山花梨(とおやまかりん)、15歳、花の高校1年生！そして、コウちゃんの3年後のお嫁さんです‼」
「おい、花梨っ‼」
「「「おめでとーございまーす」」」


なかなかの自己紹介に、私たちの気持ちと声はそろった。


もっと年下かと思ったけど、私と１つしか違わないんだ…。でも千夜先輩のお嫁さんになるって……心からおめでとございます‼


「ねぇ、遠山って……」


リンゴが首をかしげている。


「もしかして館長さんの子ども？」


あっ！そっか、館長さんと同じ名字だから聞いたことがあると思ったんだ！
でも、子どもって……


「あの人はおじいちゃんっ‼‼」


うん、そうだよね。どうみても、そんな年だよね。