「うわぁっ‼‼ご、ごめんなさいっ‼‼」


思わず手を振りほどいた。その子は離された手をさすりながら私を見ていた。
身長150㎝もないような小さな彼女は、まだおびえてる。そんなに私、怖かったかなぁ……


「あ、あのぉ……」
「はい!」


少しの間があって、女の子はようやく口を開いてくれた。私は勢いで、いい返事をしてしまった。


「私……コ……」
「待ってよ、アンちゃん‼」


言いかけた言葉は、リンゴにさえぎられた。やっぱり空気読めない‼
ビクッとして振り向いた女の子は、予想に反して嬉しそうな顔をした。


「あれ?この子だれ~?」
「コウちゃんっ‼‼」
「「「コウちゃん!?」」」


リンゴの疑問も私たちの驚きも無視して、その女の子は一直線に走っていった。
千夜先輩のもとに。


「花梨っ!?」
「久しぶりだねっ‼コウちゃん‼」


千夜先輩に抱きつくその女の子に、呆然唖然としかできなかった。さっきまでと全然違うっ!
その中で、久喜会長はやっぱり落ちついていた。


「おぉ、遠山か」
「カズちゃんも久しぶり!小学校ぶりかな?」
「ずいぶん大きくなったな」
「そのセリフ、おじいちゃんみたいだよぉ」


キャッキャウフフな空間よりも、名前が気になった。
遠山……聞いたことあるような……