「お~千依じゃん!おつかれさん」
帰り道。
名前を呼ばれて振り返ると同じバスケ部の春希(はるき)が立っていた。
春希とは中学から一緒で、いいライバルの仲だ。
実は私が密かに好意を寄せている相手でもある。
春希とは一緒にいて気を遣わずにすむし、とても居心地がいい。
お互い同じバスケ部だから会話も弾む。
「おつかれ~」
「女子どうだった?」
「勝ったよ!」
「おぉ!やったじゃん」
不意に春希が笑いかけてきた。
私は一瞬ドキンとしたけど、悟られないよういつものようにふざけてみせる。
「えぇ!勝ったご褒美に何か奢ってくれるんだ!春希くん優男~」
「んなこと一言も言ってねぇし!」
「いいじゃんいいじゃん」
「ったく、しゃあねぇなあ~。安いのにしろよ?」
「じゃ、ハーゲンダッツ」
「いや高いわ!」