いきなり今日から入院なんて・・・。
どうか入院は少しだけ待ってほしい。
でも早くしないと肺にまで転移してしまうかも・・・。
私が迷っていると、母さんが代わりに口を開いた。
「すみません、入院は少しだけ待って下さい」
「なるべく早く治療を始めた方がよろしいのですが・・・」
「分かってます。でも、この子に理解する時間を与えたいんです」
「・・・分かりました。一週間以内には必ずお越し下さいね」
「はい、ありがとうございました」
母さんに続いて、私も診察室を出る。
依然黙ったままの私に、母さんがゆっくり話しかけた。
「千依。母さんはあなたがどうするか決めさせたいと思ってる」
「・・・うん」
「抗がん剤治療は辛いし、しんどいこともたくさんある」
「うん」
「脚を切断したら、あなたの大好きなバスケも出来なくなる」
「・・・」
「だからあなた自身がどうするか決めるべきだと思う。でも・・・」
「でも?」
母さんの言葉が不意に途切れる。
私は母さんの方を見た。