「笹野さんの右膝ですが・・・」
「はい」
「通常、骨肉腫は初期症状がなく腫れも目立たないので、レントゲンだけでは判断できない病気なんです」
「・・・」
「ですが笹野さんの右膝の腫れは一目で分かるくらいの大きさです」
自分の右膝に視線を落とす。
確かにこの前よりも大きくなっていて、腫れは一目瞭然だった。
「すでに病状がだいぶ進行しています」
「・・・」
「今すぐにでも入院して、抗がん剤治療を開始することを勧めます」
医師の言葉を聞いて、頭を思い切り殴りつけられたような強い衝撃が走る。
・・・私、そんなに悪いの・・・。
「それともうひとつ」
もう聞きたくない、聞きたくないよ。
私はギュツと目を瞑る。
耳も塞ごうと思ったけど、私はどうなるのかを知りたいという気持ちがどこかにあって、塞ぐことは出来なかった。
「右膝の腫瘍ですが、抗がん剤治療をして肺転移を防いだとしても、右脚自体を切断する必要があります」