「あ、千依。どうだった?」



「・・・」



「千依?」



「お母さんを呼んでこいって、言われた」



「え?あぁ分かったわ」



お母さんは首を傾げながら、私と一緒に診察室に入った。



医師はさっきと同じようにレントゲンを指差しながら、私が“骨肉腫”という病気の可能性が高いと告げる。



お母さんは唖然としたまま。



医師はそのまま詳しい説明をお母さんに話し始める。




まず“骨肉腫”とは。



簡単に言えば骨に出来る悪性の腫瘍で、腫瘍細胞が骨を形成するため腫瘍部分が骨に変化することが特徴である。


発症の原因は未だよく分かっていない。



骨肉腫は肺に転移しやすいため、まず抗がん剤治療で病状の悪化を防ぎ、その後腫瘍部分を切除するというケースが一般的だ。



他の臓器への転移が見られない場合、5年生存率は約50パーセント。



とにかく早期発見、早期治療が大変重要となる病気なのだ。