「笹野千依さんですね、どうぞお座り下さい」
医師に促されるまま、私は椅子に腰を下ろす。
「このレントゲン画像を見てもらえますか」
「はい」
私に見えやすいよう医師が角度を変えてくれた。
自分の脚のレントゲンを見る。
すると膝の辺りによく分からない影があった。
ちょうど腫れている部分だ。
これは・・・何?
私の心を察したように医師がそこを指差しながら話し始める。
「ここのとこ、影がありますよね」
「はい・・・」
「これは恐らく“骨肉腫”だと思われます」
「こつ、にくしゅ・・・?」
初めて聞くその単語に、私は不安の色を隠せなかった。
「もしお母様もご一緒でしたら呼んできて頂けますか?」
「・・・はい」
私は重い足取りで母さんを呼びに行く。