「千依(ちい)、パス!」
仲間からのパスを受け取り、私はドリブルをしながら一気にゴールまで走る。
相手のディフェンスをかいくぐって、そのままシュートを放った。
ボールはリングに吸い込まれ、どっと周りから歓声が上がる。
「千依~!!ナイッシュ~!!」
「へへ、ありがと」
シュートが決まり、皆が笑顔で駆け寄ってくる。
この瞬間がとても好きだった。
私は小さい頃から高2になった今でもずっとバスケをやっていて、将来も続けていくつもりでいる。
ボールを手で弾ませる感触が好き。
床に擦れて響くバッシュの音が好き。
シュートが決まった瞬間の皆の笑顔が好き。
バスケをしているときが、何よりも大好きな時間だった。