やっと佐藤くんから解放され私達は出口へと向かう。それから佐藤くんは何か思い詰めたように何も話してくれなくなった。さっきまで恥ずかしくて意識せざるをえない左手も今は置いていかれて子供のように行き場を失っていた。

私はただ黙って佐藤くんの後を歩いて行った。

はぁー。今度こそ私佐藤くんに嫌われたのかな?

知り合ってすぐの譲さんと二人で出掛けるのなんて軽い女だって思われたんだ。

ズキン

私はずっと片想いのままで遠くから佐藤くんを見ているだけで良かったのに。
友達だと言ってくれた佐藤くん。仲良くなって益々好きになっていって。きっと罰があたったんだね。こんな私が佐藤くんと友達になんてなったから。でも嫌いになって欲しくなかった。嫌いになられるぐらいなら私の存在なんて消してもらった方がいい。

気がつくと、私は歩くことも出来ずうつむきながらただ溢れる涙を流すだけだった。


「早乙女さん?」

これ以上佐藤くんに嫌われたくない。惨めな自分も見せたくない。

気が付くと私は後ろを向き佐藤くんから逃げるように夢中で走りだしていた。