恋人繋ぎに慣れない私の歩き方は何ともぎこちなかったと思う。それでも佐藤くんは優しく私のペースに合わせてくれた。



「あっ、美味しい。」

私は生うにのパスタを食べていた。

イタリアンなんて近所のファミレスしか行ったことのない私にはどれもが始めてみるパスタだった。

あれこれ悩んでいると


「もしかして早乙女さんイタリアンのお店初めてなんじゃない?」

「うん。ファミレスしか行ったことのないから確かに初めてかも。」

「良かった。このお店選んで。」

そう、このお店は佐藤くんが連れて来てくれたお店だった。
カッコいい人はお店もお洒落なとこ行くんだなと感心してしまった。


「あっ佐藤くんも食べる。このパスタ凄く美味しいよ。」

単純な私は美味しい物を食べてつい調子にのって何て失礼な事を言ってしまったんだろう。

「あっ、ごめん。私なんかが口つけたの食べたくないよね。
でも本当に美味しいよ。ここなら口つけてないから食べられるんじゃないかな?」

「私なんか……。

今言ったね。」

あっ、言いました確かに。


「ごめん。」

「これはすぐ罰ゲームしてもらおっかな。」


「な、なんでしょう。」

「早乙女さんのパスタ一口頂戴。」

ん?

量肘ついて早くって言いながら口を開けて待ってる佐藤くん。

えっ、それってまさか私が食べさせるってこと?

オドオドしながらフォークにパスタを絡めて佐藤くんの口に持っていくと。

パクっ

「うん、確かに旨い。」

嘘でしょーーー!?

私が口をパクパクさせていると

「はい、お返し。」


そう言って今度は佐藤くんの食べていたパスタを私の口に入れてきて


「美味しい?」

って満足そうな笑顔を私に向けてきた。


モグモグ ゴックン


「美味しい……。」

本当はドキドキし過ぎて味なんてよくわからなかったんだけど。