「じゃあまず、早乙女さんボール持って。」


「は、はい。」

ボールを持って佐藤くんの所に行くと

「早乙女さん、俺の方じゃなくてピンの方をむこうか。」


はっ、そうだよね。

恥ずかしい。何してるのよ。


「すみ、ごめん。」


「はっはっはっ、今のはおまけね。」

ふー。危ない危ない。なんてほっとしてると佐藤くんが私の後ろにピタッと体をつけてきた。そして私の両手に自分の手を重ねて耳元で、

「力を抜いて俺の動きに合わせて。」

エッエーーー。

ドキドキして頭がクラクラしてもうどう投げたのか覚えてない。

「早乙女さん、今のでわかった?

何ならもう一回教えよっか?」


無理 無理 むりー!
こんなこともう一回やったら私の心臓もちそうにないもん。

だから私は全力で否定した。

「大丈夫です。」

クスッ


あっ、またやってしまった。