「お前ら、ぶっ飛ばしてやろうか?」

「!?奏多先輩!」

「げっ…よ、吉高!」

「あ?その子を離せ、ぶん殴るぞ」

「ヒッ…」

そう言って男は逃げていった。

「ごめんね、日向ちゃん。怖いとこ見せて」

「大丈夫です。ちょっとびっくりしただけですし。」

奏多先輩は、少し微笑んだ。

「…俺さ、中学の時、暴れてたんだ。だから今もこうして1人。

…情けないよな…」

「全然情けなくなんかないです‼︎むしろ、さっきみたいな人達の方が情けないですよ‼︎」

「ははっ、ありがと。日向ちゃんがいてくれて、俺、楽しいよ」

体が震え始めた。

怖かったのと、安心感で、力が抜けた。

「怖かった…」

「うん、怖かったね。来るの遅くて、ごめん。」

「…来てくれて、嬉しかった…っ」

震えを抑えるように強く、腕を回された。

「奏多先輩…」

「良かった…日向ちゃんが無事で。怪我ない?」

「はい…」

ぽろぽろと涙がこぼれる。

先輩は体を離してから、私の涙に唇を重ねた。

その時。