緑のリボン。ブラウス。赤チェックのスカート。紺のブレザー。

今日は高校の入学式。

今は朝の7時30分。

入学式は8時45分からだから、8時20分に圭と駅で待ち合わせ。

8時に家を出れば、間に合うか。

スクバには、新しい『にゃにゃ』のペンポーチ。

そして、電車通学だから、ICカード。

ブレザーのポケットには、入学祝いに買ってもらったスマホを忍ばせた。

スマホで揺れるのは、誕生日に圭から貰った、お揃いのキーホルダー。

私が大好きなキャラクターの、『にゃにゃ』。

もともと猫が好きで、目がくりっとしてて、お気に入りなんだ。

「お父さん、そろそろ行って来るね。」

お母さんは、仕事でもう出かけている。

駅に着くと、もう圭が待っていた。

「ごめん、遅かった?」

「ううん、全然!っていうか…」

「うん?」

「制服、似合ってんな。可愛すぎ。」

「圭も、すっごい似合ってるよ!かっこいい!」

「ん。電車来た。乗るか。」

「う、うん!き、緊張してくるな…」

「ふっ。緊張し過ぎだろ。大丈夫、大丈夫。」

大好きな手が、私の肩まで伸びた髪を撫でた。