「…日向ちゃん?」

「っひいくん…」

「ってその人、誰?」

「奏多先輩。私を助けてくれた。」

「ふうん。帰んぞ。」

「う、うん。奏多先輩、ありがとうございました。また明日。」

「うん、また明日。」

◇◇◇◇
「ひいくん、なんで怒ってるの?」

「怒ってない」

「怒ってるじゃん」

「怒ってねえって」

「怒ってるくせに…」

「怒ってねえっつってんだろ!」

ビクッと体が反応する。

涙で視界が歪む。

「ちょ、日向…何泣いて…」

「もういいんでしょ。さき帰るから」

走り出す。

事情も知らないくせに、なんで怒るの…!?

ムカムカとしたものが、涙に変わっていく。

この世界は…イジワルだ。