ユイには見えた。

 天恵のオカリナを吹く王の身体に、天上から太陽神が降り立つ姿が。

 半透明で、アキス王の2倍はある背丈。その輪郭は力強い金色でふちどっている。

「太陽神」

 ユイの隣でアレキサンダーのつぶやくような声が漏れた。

 アレキサンダーの呼びかけた言葉は太陽神のもとに届き、金色の瞳がアレキサンダーとユイをとらえた。

 アキス王と同じ金の瞳。

 動けない。

 不思議な時間が流れた。

 音がひときわ大きく響き渡り、短くも、長くも感じた儀式の終焉がきた。

 東の空に、大きな太陽が姿を現していた。

 太陽を呼び終えたアキス王と同じように、アレキサンダーはユイの隣で生まれたばかりの陽光の中に佇んでいた。

 満足そうな微笑みを浮かべ、神々しい王のようにまっすぐに東の空を見つめて。