―――12時間前。『オートマトン -Online-』太陽神界。

 アレキサンダーとユイの最初の旅が、結衣の都合で打ち切られてからというもの、七夕イベントなどでなかなかシャテラリア城に来ることができなかったのだが、ミッション2を受けるという名目で、再びアレキサンダーを誘って、シャテラリア城に向かって旅をすることができた。

『メイの草原』、『ガマール沼』、『スカイグレープ耕地』を抜けて、リアルで3時間かけて、結衣とアレキサンダーはシャテラリア城の城門前にたどり着いた。

 太陽の光を受けて燦然と輝くと言われているシャテラリア城は現在、西の空に月を置き、城内からは温かそうな灯篭の明かりがもれている。

「夜なのに、私が行ったどのエリアよりも明るい」

「この城は世界に太陽をもたらす太陽王の象徴みたいなものだからな」

 アレキサンダーが城門のすぐそばに立っている2人の門兵のうちの1人に近づいていく。

「これだよ。つぎのミッションをくれるキャラクター」

 結衣はアレキサンダーの隣に立ち、慌てふためいている様子の門兵に話しかけた。


『大変だ、城と太陽を呼び込む儀式を行う丘をつなぐ道の間に、モンスターが現れたらしい。討伐のためにシャテラリア国の最強部隊である第一部隊が向かっているのだが、隊員のほとんどが国外に出ているために、討伐は至難を極めるだろう。すでにアキス王様は丘に到着されているとのことだが、万が一、アキス王様になにかあれば、2度と太陽をこの世界に呼び込めなくなってしまう。
 ……!!!そこのお前、今の話を聞いていたな。見たところ冒険者のようだが、名はなんと言う。……ユイ?もしやトルーワ火山のドラゴンを退治したあのユイか?!第一部隊のサルマゴナ殿から話は聞いている。再びその腕を我々に貸してはもらえないだろうか』


1.よろこんで
2.忙しいからまた後で
3.私には関係ない


 結衣は1を選択すると門兵は安堵した様子で話を続ける。