「リアル身長はいくつ?」

「156センチ」

「チビやな(笑)」

「チビ?!!!いくつなの?」

「182」

 アレキサンダーがにやりと笑う。

 狩人の姿をしたこのキャラクターも丁度そのぐらいはありそうだ。

 どさどさと丘の上から羊が数頭下りてくる。

 どの羊も同じクオリティーということを除けば、すべての要素が圧倒的なリアリティーを作り出している。

「……なんか」

 ユイは考えながらゆっくりとした口調で続ける。

「いま、すごく、アレキサンダーさんが、本当の人間みたいに思えた」

 アレキサンダーはそれを聞いて、一瞬言葉に詰まってから口を開く。

「いや、本当の人間だから。めっちゃリアルやで(笑)」

「それはそうなんだけどね(笑)またに、ふっ、て忘れてるときがあって」

「まあな、分からなくはない。お!」

 アレキサンダーが風車の壁際にユイを引っ張った。

「なに?」

「しっ!」

 アレキサンダーが壁を背にして、風車の向こうの様子を伺う。

 ユイも音をたてないようにして、それに倣う。

「うわ!!!」

 驚いて声を上げたユイの口を、アレキサンダーが慌ててふさいだ。

 2人が隠れている風車の壁に体をこすり付けるようにして、もっさりとした灰色の毛に覆われた1頭の羊が通り過ぎていく。

(おっきいーーー!こんな羊みたことない!!)

 立っているユイたちの目線では、まだ羊の胴体の下半分しか見えない。

 羊は丘をゆっくりと下りていく。