「スクリーンショットで画面を撮影してね、それを携帯に転送して、待ち受け画面にしたんだ」

 結衣は2限の授業が始まる前の、ガヤガヤとした教室の最前の席に座り、隣の洋子に携帯を見せていた。

「うわあ、これじゃあ、はまるわ(笑)本当の人間みたいじゃん!」

「うん、すごくキャラクターが柔軟に動くからゲームの違和感もなくて、ほんとリアリティあるよ」

「こっちが結衣ちゃんのキャラ?」

「うん、このみすぼらしい服装の方。で、となりに座ってるのがキャスケットさん。これはね、トルーワ火山の地下の洞窟で、キャスケットさんと2人でお話した時の写真なんだ。あそこは鉱石が魔力をおびてて不思議な淡い光を放ってるんだよ。あそこでじっと座ってると、星空の中にいるみたいなの」

「へぇぇぇ、すごいね。他にもあるの?」

「データフォルダーに入れてあるよ。えっとね―――これはジャングルの中で、コロナタっていうモンスターの親玉みたいな猿とみんなで戦ってるところ」

「あはは、ユイちゃん、逃げてばっかりじゃない?」

「そんなことないよ!ほら、これとか、ちゃんと短剣ふりまわしてるじゃん。わたしかっこいいわ」

「これは?」

「ああ」

 結衣の顔がげんなりした。

「これは、はじめてPKされたときのSS。同じプレイヤーに殺されたの、これ、ここに写ってるこの人が犯人」

 結衣がコロナタとの戦闘の写真に戻す。

「一緒に戦ってるように見えるけど?」

「たまたま一緒に戦うはめになったんだけど、いい人なのか悪い人なのかまだよくわからないんだ。あれから会ってないし」

「ふむふむ、おっ、これは?」

 洋子の目が突然輝いた。