そうするしかない。

 それしかできない。

 ユイはそれにいっぱい頷いた。

 入港の汽笛が船内に響き渡った。

―1分後に入港します―

「おっ、懐かしい初心者エリアの孤島だ。どうする?まだ釣り続けるか?今リアルで23時になるけど」

「大陸まで折り返したいな」

 ユイはアレキサンダーを見上げた。

「私、まだ1匹も釣れてないし、モンスター以外」

 ユイはにやりと笑って竿を肩に掛けた。

「うは(笑)おっけい、付き合うよ」

 朝日が照らす帆船の甲板の上。

 からくり士の女と狩人の男の姿は、誰の目から見ても太陽神界に生きる冒険者であり、命を預けあう仲間に見えた。

 小さな体のアルメェールは、ヘルムの中のからっぽの瞳で、首をかしげながら2人の冒険者を見上げていた。