ユイはアレキサンダーの弓の援護を受けながら、イッカクをサクサク攻撃している。

「あれ?もしかしてイッカクって弱い?(笑)」

「初心者が乗る船だから(笑)それにしても、このオートマトンの攻撃力、かなり高いね」

「アルメェールは大事な相棒ですからね、それはもう私がビシバシ鍛えてます」

 イッカクのすさまじい突進をユイはひらりとよける。

「からくり士はすばやさもあるし、高レベルになればソロ(一人)で旅ができるよ」

「ほんと!?わーいっ☆」

 ユイは余裕の表情でオートマトンと連携技を発動した。

 赤い竜巻が轟々とイッカクを包み込む。

「おおーっ」

 船に乗り込んでいた他プレイヤーが船室から出てきて、ユイに喝采を送る。

「ありがとー」

 ユイは嬉しそうにそれに答える。

 イッカクが甲板に倒れ、戦闘が終了すると、ユイは短剣を腰の鞘におさめた。

「見た目は私が派手に攻撃してたけど、実際ダメージ削ってたのはアレキサンダーさんだったのにね(笑)」

「おいしいとこ取りやな(笑)」

「へへ(笑)あれ、アレキサンダーさんって関西人?」

「うん、大阪。ここじゃ、めったに関西弁使わないけど」

「へぇ、関西弁ってなんだか新鮮」

「そう?おっと、忘れるところだった。海から釣り上げたモンスターは、アイテムが胃袋に入ってるから調べるといい」

「胃袋…」

 アレキサンダーがイッカクのお腹に手を入れて、なにかを探り当て引き出した。

 倒れていたイッカクがそれと同時に透明になって甲板から消える。