「みんなプレゼントもってきた?」

 結衣は足元の手提げ袋をひざの上にのせる。

「もってきたよ」

「プレゼントは500円未満で1つだけで持ってくればいいんだよね?」

 洋子の言葉に、結衣はうなずく。

「うん、時計回りにプレゼント交換しよう」

 それぞれが時計回りに流れてきたプレゼントを受け取り、中身をニコニコしながら開けていく。

 新製品のクリスマス限定カラーのマニキュアに、天使の羽のついた金色のピアス、ゴディバの缶入り粒チョコレート、一見革に見えなくもない格好の良いおしゃれなブックカバー。

 それぞれが自分の買ったプレゼントについて我先に話し出す。

 結衣はみんなの笑顔を見ていたら、胸が詰まって、だんだんと言葉が出なくなっていった。

 みんなの声に、うんうんと相槌を打つ。

「結衣?」

「ん?」

「どうした?」

 美香が結衣の顔を覗き込む。

「なんか……楽しいなって、思って」

 結衣の言葉に、春奈が柔らかく微笑む。

「結衣ちゃん、今日来れて本当によかったね。ほら、この間まで、まだ体が安定しないから来れるかどうか分からないって言ってたから」

 洋子が高い声でそれに続ける。

「わたしなんてさぁ、もう歩けるかどうか分からないってメールもらったとき、もう本気で、私に何ができるか悩んじゃったよ。結衣ちゃん、ほんと歩けるようになってよかったよねぇ」

「うん。―――最近ね、ちょっとしたことがすごい幸せに感じるんだ。晴れた空の下を痛みなく歩けてるときとか、ご飯がおいしく食べれたときとか。もう、これ以上の幸せはないんじゃないかって思うぐらい。だから、今日なんてもう、幸せすぎるよ。皆と、一緒に遊べる体には戻れないかもしれないって思ってたから、尚更、今、この瞬間が……すごい幸せ」

 結衣が、心からまっすぐに言葉を紡ぎだしていく。

「みんなのこと、本当にありがたいと思ってるの。ここ数ヶ月、私のリハビリに付き合って、一緒に歩いてくれたり、綺麗なポストカードで励ましてくれたり、すごく、うれしかったよ」