けたたましい着信音で、結衣はベットから飛び起きた。

 どうやら寝てしまっていたらしい。

 びっくりしすぎて心臓がドクドクと脈を打っている。

 真っ暗な部屋のベットの上で、携帯を手探りでさがしあて、音を消そうと画面を開くと、見慣れぬ番号で着信がかかっていた。

 寝起きの頭で深く考えることもなく、通話のボタンを押す。

 携帯を耳に当てると「もしもし」という聞きなれない低い声がした。

「もしもし?」

 結衣がそう返すと再び低い声がする。

「もしもし、こんばんは。」

 こんばんは、という向こうの言葉に多少の照れが混じっていた。

「こんばんは。あのう…」

 結衣が問いかけようとしたとき、声の主は自ら正体を明かした。

「アレキサンダーです」

「ぬあ!!!!」

 結衣はベットから起き上がり、立ち上がった。

「ユイ、さん?」

「はいっ」

「なんか、変な感じやなぁ」

「うん、変な感じ。」

 緊張と同時に笑いがこみ上げてくる。

 携帯の向こうからも、面白そうな雰囲気が流れてくる。

 緊張を隠しながら結衣も言葉を発する。

「やっぱり、『オートマトン -Online-』の太陽神界で話すのとはぜんぜん違うね」

「ちゃうなぁ。ユイ、携帯のメールみた?」

「あっ、さっきの?会議21時からってやつ?」

 結衣はパソコンがのった机の上に視線を投げる。

「あれ!!!!もう日付変わってる!!!?0:20だ」

「あー、もしかして寝てた?ごめんごめん、切るわ」