わらにもすがりたい思いの結衣は、涙ぐみながら先生にうなずいた。

「いまは痛みや骨の異常から、頭がスッキリしなくて、自分の状況がはっきりわからないかもしれないが、僕から言わせてもらえば、今が治るギリギリのラインだよ。君にとっては今が絶望的な状況かもしれないけど、今日僕のところに来てなかったら、もっと悪くなってたから、それに気づけてよかったと思おう」

 先生は力強く言い放つ。

「頑張ったら頑張った分だけ結果が出るように、僕がしっかり指導する。君の努力が無駄にならないように」

 結衣は祥平を見つめた。

 祥平も満足そうにうなずいていた。

「信じて頑張ります」

 結衣の言葉にメガネの奥の先生の瞳が僅かに微笑む。

「じゃあ、いまから処置していくから。彼氏は外でもうしばらく待っててくれる?」

 祥平がカーテンの向こうに消え、先生が結衣を見下ろす。

「僕が君に『治った』っていう日が、絶対に来る」