―――蘇生。

「へへ、成功!」

 ユイはぴょこっと起き上がるとキャスケットに、にやりと笑った。

「ありがとう、ユイ。あの状況でよくあんなこと思いついたわね」

「分かってやってたのか自分でも分からない(笑)」

 ここまでの恐怖を味わうと思いもしていなかったユイは、きゅうに笑いがこみ上げてきた。

「はぁぁ、ドキドキした(笑)キャスケットさんにもらったかんざしの蘇生魔法、今のが最後の1回だからもう使えないし、もうあんなの会いたくないよ。あれは、いったいなんだったの?」

「ごめんね、まさかレアモンスターの出現の時間と待ち合わせ時間がかぶるなんて思わなかったの。あれはこのジャングルに地球時間で一週間おきに出現するレアモンスターのコロナタ。出現に気づいたときはもう遅くて、あっという間に近くにいた初心者グループが襲われはじめて、なんとか逃がそうとしたんだけど」

 キャスケットは広場の周りに倒れたままのプレイヤーに視線を送った。

「―――守れなかったわ」

 ユイは体力と精神力をほとんど残していない様子のキャスケットに回復のアイテムを使っていく。

 安い回復用アイテムではキャスケットを完全に回復させるのにかなり時間がかかってしまった。

「もういいわ。これなら皆に蘇生魔法かけられる」

「よかっ―――」

 ユイの差し伸べた手を掴み、キャスケットが立ち上がろうとした瞬間、ユイの姿が鈍い音と共に掻き消えた。