「ひゃっ！」

　十数分後、ユイたちが『トルーワ火山』に足を踏み入れると、ミッション１で倒した紅のドラゴンがこちらに背を向け、初心者グループと対峙していた。

　突然、威嚇の咆哮を放たれる。

「あっ！」

　ユイは慌てて耳を塞ぎながらも、前方の武器を構えた初心者グループに視線を投げた。

「アカネちゃん？！」

　ユイの声は届かない。

　かつて、ユイがミッション１をクリアするために募ったメンバーの１人だったキャスケットに似た容姿の少女アカネを中心に、他３名のプレイヤーが、ドラゴンの咆哮が切れると同時に攻撃を開始した。

　ドラゴンの攻撃対象に入っていないユイは、ドラゴンの背後に立ったまま観戦する。

（……うーん、これはやばいかも）

　見たところ、１番レベルが高いのはアカネで、彼女が積極的にドラゴンに攻撃し、またメンバーの回復役もしているらしい。しかし回復魔道士は防御力も攻撃力も、同じレベルの戦士や狩人には激しく劣る。そのため、ドラゴンの体力はほとんど削れてない上に、アカネの減った体力を回復するために大量に使われているアカネの魔力が、すごいスピードでなくなっていくのが見える。

「アカネちゃん！私をメンバーに誘って！」