退院しても2週間の入院の習慣は抜けず、午後7時にはすでに眠くなり2時間後にはおそらく眠りについていた。

 そして、翌朝、5時に目が覚めた。

 全身が痛みで熱くなっている。

 静かな家の中で、夜通しついていたらしい扇風機のまわる音だけが響いている。

 青白い天井から目を離し、結衣はゆっくりとベットから起き上がった。

「っ!」

 上半身を起こしただけなのに、下半身に痛みが走る。

(いつものことよ、大丈夫)

 ゆっくりとベットから足を下ろして立ち上がる。

 どうしても誘惑に勝てなかった。

 結衣はベットの横の椅子に腰をかけ、パソコンを起動した。

 久々に手に取ったオンラインゲーム専用のヘッドギアを頭に装着したとたん、脳がしびれるような快感が徐々に結衣を満たしていく。

 目の前が一瞬暗くなり、再び視界が明るくなったと思うと、ユイは『メリーの草原』で立ち尽くしていた。


 太陽神界時間13:00
 地球時間5:03


 空はビックリするほど青く、高く澄みわたっていた。

 風は比較的強く、シャテラリア城のある『スカイグレープ耕地』の方角から吹いてくる。

 ユイはその風に背を向け、徒歩で動き出した。