息を呑むほどの激痛で目が覚めた。

 痛さのあまり体を丸めて右の太ももを両手で押さえる。

 知らない匂いのするベットの中で、しばらくじっと痛みに耐える。

 少しずつ体を動かして、自分の体を見てみるが、服装はジャージに変わっているだけで体のどこにも傷跡は無い。

「起きたんじゃない?」

 ひそひそと囁かれる声が閉められた白いカーテンの向こうでしている。

「看護師さん、そこの人起きたみたいよ」

「起きた?」

 よくとおる声がしたかと思うと勢いよくカーテンが開けられた。

「ん、起きたね。どこか痛い?」

 メガネをかけた50代ぐらいの女性が優しい声で問いかけてきた。

 私の手が右の太ももに行っているのに気づき、看護師はさらに声を優しくしていう。

「まっすぐ上を向いて寝れる?その方が体に負担かからないから」

 私はゆっくりと少しずつ体を動かして仰向けになった。

 それだけでも痛みで息が乱れる。

「いま先生呼んでくるからね」

 病室はそれきり静かになった。

 車にはねられてからここに運び込まれるまで、とぎれとぎれだが、自分の様子が映像として脳に残っている。