満天の星空の下。
静かな大海を帆船が滑るように進んでいる。
ユイはその船先に立って、さきほどまで漆黒の海原を見つめていた。
ギィー、という甲板がきしむ音が、潮騒と共に海面を流れていく。
前途多難。
ユイは甲板にうつぶせに倒れながら、深くため息をついた。
顔はかろうじて横を向いて倒れたので、体が動かなくても自分を倒した相手の足に装着された赤いレギンスを見ることができた。
「ちっ」
レギンスの男はユイを足で踏みつけた。
「俺がこの船に乗ってるっていうのに、ぼさーっと突っ立ったまんま、かまえもしないなんて、お前、アホすぎ」
ユイは痛みも背中の足の感触も感じなかった。
私が悪いの?だって、敵でもないのに攻撃してくるなんて思わなかったんだもん。
「おっ、あれか?お前のオートマトン」
レギンスが見えなくなり、足音が少し遠ざかる。
誰かに助けを求めたいけど、船には私たちのほかに船長が一人しか乗っていない。
しかも、その船長はゲームのキャラクターだからそんな気が利いたことできるはずがない。
次の瞬間、ランプの明かりだけの甲板に強烈な閃光が走った。
そして爆発音と共に爆風がユイを襲う。
もう!なんて最低なやつ!私だけじゃなく、オートマトンまで壊すなんて!
「あーあ、つまんねぇ。どうせなんも持ってないだろうしな」
爆風がおさまり、レギンスが再び視界に入る。
ユイのトレジャーバックがはずされる。
「……はっ?初心者エリアから大陸に出航するっていうのに、アイテムが回復ビン一つってどういうことだよ」
「回復ビンもろくに買えない初心者を、あなたは狩ったということよ」
ユイは突然聞こえた女のよく通る綺麗な声に、ログアウトのボタンに伸ばしかけた手をとめた。
静かな大海を帆船が滑るように進んでいる。
ユイはその船先に立って、さきほどまで漆黒の海原を見つめていた。
ギィー、という甲板がきしむ音が、潮騒と共に海面を流れていく。
前途多難。
ユイは甲板にうつぶせに倒れながら、深くため息をついた。
顔はかろうじて横を向いて倒れたので、体が動かなくても自分を倒した相手の足に装着された赤いレギンスを見ることができた。
「ちっ」
レギンスの男はユイを足で踏みつけた。
「俺がこの船に乗ってるっていうのに、ぼさーっと突っ立ったまんま、かまえもしないなんて、お前、アホすぎ」
ユイは痛みも背中の足の感触も感じなかった。
私が悪いの?だって、敵でもないのに攻撃してくるなんて思わなかったんだもん。
「おっ、あれか?お前のオートマトン」
レギンスが見えなくなり、足音が少し遠ざかる。
誰かに助けを求めたいけど、船には私たちのほかに船長が一人しか乗っていない。
しかも、その船長はゲームのキャラクターだからそんな気が利いたことできるはずがない。
次の瞬間、ランプの明かりだけの甲板に強烈な閃光が走った。
そして爆発音と共に爆風がユイを襲う。
もう!なんて最低なやつ!私だけじゃなく、オートマトンまで壊すなんて!
「あーあ、つまんねぇ。どうせなんも持ってないだろうしな」
爆風がおさまり、レギンスが再び視界に入る。
ユイのトレジャーバックがはずされる。
「……はっ?初心者エリアから大陸に出航するっていうのに、アイテムが回復ビン一つってどういうことだよ」
「回復ビンもろくに買えない初心者を、あなたは狩ったということよ」
ユイは突然聞こえた女のよく通る綺麗な声に、ログアウトのボタンに伸ばしかけた手をとめた。