「ごめんね。おにぃちゃんには……会えないんだ。」

「どうして?」

「えっとぉ……。」



……こういう場合本当のこと…言うべき?



「おにぃちゃんとケンカしたの?」

「えっ……。」



またドキッとする。

どうして……。

まぁ麻実は適当に言っただけなんだろうけど。



「う……うん。そうなんだよね。」

「どっちがわるいことしたの?」

「………。」



どうしてもすぐに郁哉がって言えなかった。

悪いのは……急に怒った郁哉のはずなのに……。



「もしかしておねーちゃんがわるいの?だったらあやまらないと。」

「ど……どうして私が……!」

「あのね。ほいくえんのせんせいにいわれたけどね。じぶんがきづかなくてもあいてをきずつけてることがあるんだって。」

「……そっか。」



私が気付いてないだけで知らない間に郁哉を傷つけてたの?


ううん。

そんなはずない。



「でもね。きっとおにぃちゃんが悪いんだ。何も悪いことしてないのに急に怒るんだよ?」


「あー!まーちゃんもきゅうにせんせいにおこられたことあるよ。」


「麻実もなにか悪いことしたことあるんだ。」


「うん。でもね。せんせいいつもいうの。まーちゃんのこときらいでおこってるんじゃないよって。

まーちゃんがまちがえたことしてたらちゃんとしたひとになれないからおこるんだって。」



そっか。

よく言われるやつだね。



あ………。



……もしかして………郁哉はただ怒りっぽいんじゃなくて、私のこと助けようとしてくれてたの?



夢のこと話したときも、麻実のことも。


海斗の……ことも…。