「あら、郁哉くん。彼女でも連れてきたの?」



クスクス笑う看護師さん。


か……彼女っ!?


心臓がバクバクいってるよ……。


でも……看護師さんが郁哉のことを知ってる。

ってことは……本当なんだね…。


郁哉が入院してること。



「そんなわけねーよ。俺に彼女とかありえねーから。」

「いやー。わかんないよー?」

「ちがうってば。ほら希からも言えよ。」

「へぇー。希って呼び捨てなんだー。怪しい。」

「ったく……宮沢さん!」



そんなやりとりを私はぼんやりと聞いていた。



この人が郁哉の待ち合わせ相手だと思ってた宮沢さんか………。


若くて優しそうでなによりも美人さん。

正直モデルでもやってけそうな感じ。



「希ちゃんって言うんだ。よろしくね。」

「あ、はい。よろしくお願いします。」



突然話しかけられてびっくりしちゃった。

芸能界の人と会った感覚。

郁哉ってこういう人が好きなのかな………。

なんてね。

バカバカ。そんなこと考えないの!自分!



「もうベッドに入ってないと先生に怒られちゃうよ?」

「はーい。っさ、希。部屋行くぞ。」

「あ、うん。」




まだちょっと頭がついてかないけどとりあえず落ち着こう。


なんて考えてたら郁哉に腕を引っ張られ病室に連れて行かれた。