「あ、やべっ!約束してたのに……。」


急に思い出したように郁哉は立ち上がって言った。



「誰かと約束してたの?」


「まぁな。5分遅れた。」


ふと時計を見た。


『12:15』

言い争いしたりしてる間にもうこんな時間か……。

時間過ぎるの早いよ。

郁哉と喋り始めてから時間がすごく早く感じるんだよね。



「じゃあ急いで帰った方がいいんじゃない?」

「ああ。悪りぃな。」



それだけ言うと私に背を向けて郁哉は歩き始めた。



急いでるんなら走ればいいのに………。



そんなとこも含めてやっぱり郁哉は不思議な人だった。